ファンカルロスと初めて会ったのは、2008年だったか。
エルサルバドルのコーヒー学校にいた時。どの講座で一緒だったかはもう忘れてしまったが、とにかくそのとき自己紹介で農園をやっていると聞いて『今度農園を見たい』と言ったことは覚えている。
結局その時は機会がなくて行けずじまいだった。
翌年2009年。エルサルバドルのカップオブエクセレンスは、シャングリラ農園のあるアパネカで行われていた。

【2009エルサルバドルのCOE国際審査の様子】
この大会でシャングリラ農園は、見事入賞。エルサルバドル屈指のブルボン種を生産する農園として認知されることになる。
私はこのとき国際審査員ではなく、主催者側で運営を手伝だっていた。
ファンカルロスは、出品者として会場に来ていたので、「農園行くだろ?」と誘われたが、時間が無く断念。
そしてついに・・・。

この日がやってきました。
シャングリラ農園が位置するアパネカという地域は、エルサルバドルのコーヒー生産エリアとしてはとても有名なんですよ。高品質珈琲がたくさん採れる場所。
車の中から見えるのは見渡す限りコーヒー、コーヒー。本当にそんな感じ。

【シャングリラ農園入口】
シャングリラとは、ジェームズ・ヒルトンの『失われた地平線』に出てくる理想郷の名前。
凄い名前だ。何故こんな名前が農園に?
ファンカルロスに聞いてみた。「この農園を買ったときからその名前だった。それで定着しているし、わざわざ変える必要もないと思ったんだ」
なるほど。
「ここは珈琲の理想郷(ユートピア)なんだね」
「まあね。」(笑)

さあ、出発!ここから農園に入ります。
日差しは強いけれど、適度に風があって気持ちが良い。

【シャングリラ農園内】
緩やかな斜面に道が一本。
両脇には太陽光をいっぱいに浴びたコーヒーの木。

昨年の作柄、そして今年の出来具合をファン・カルロスに説明してもらう。
さび病の被害を受けた後だったが、すでにカットバックなどの対処を終えて、これからに向けて準備を進めているところだった。
さび病は落ち着いているが、雨季に入るとどうなるか分からない。まだまだ安心できないと言っていた。そう。さび病は湿気を好むのだ。

【木の状態を記録する】
畑を見回すと開花が終わり、木々は緑の小さい実をたくさんつけている。
カルロスは時々立ち止まっては、こまめに写真を撮っていた。健康に育っている木を見ると、やっぱりうれしいらしい。
コーヒーの花見つけた!「なんてきれいなんだ!」

【コーヒーの花 ジャスミンのようないい香りがします】
今回入荷したのは、シャングリラ農園のブルボン種。
とても繊細な豆なので、あまり深く焙煎するよりは浅目のほうが酸味も甘みも生かせそうです。
コーヒーの理想郷から届いた美しく魅惑的な香味が楽しめます。

【記念撮影】
ファン・カルロスは日本でこのコーヒーがたくさん販売されることを熱望。
カフェテナンゴは、シャングリラ農園の珈琲の風味を最大限に活かすように細心の注意を払って焙煎しています。
すっきりと晴れ渡った空にギラギラと溶けるような太陽。
甘く透き通ったコーヒー液の中には、カルロスの情熱が詰まっています。
シトラス系の熟した丸い酸味とアフターに香るチョコっぽい感じがなんともエルサルらしくていいじゃないですか。 |